口癖

子どもたちは大人を映す鏡である。

普段、何気なくパパやママがしていることは、注意して観察していようといまいと自然と彼らに刷り込まれていくのである。もちろん、パパ・ママに限らず、一緒に生活している大人や保育士さんたちなど、彼らと日頃、接触している全ての大人が対象となるのだが。

彼らもずいぶん達者になってきて、当たり前だが子ども同士で話をする。

普段はそんなに気にならないのだが、感情が高ぶった時、つまり喧嘩をしているときなど、実は聞いていて面白い。傍にいたら適当なところで止めるべきなんだろうけど、ついつい会話に聞き入ってしまうのである。

この間もショーとタクが喧嘩をした。

大抵、オモチャの取り合いか、パパやママの（隣の席や膝の上の）取り合いが多いのだが、この日はオモチャ。

口で達者なショーと腕力に勝るタク。取り合いながら、ショーが理論的（？）にタクにたたみかける。タクは反論できなくなり、唸りながらショーを倒し力づくで奪い取る。泣いてショーが悔し紛れに言い放った。



「もう、この子はガンコだね！」



．．．



えっ！？


次の瞬間、経緯を見ていたパパとオフクロが笑いだした。タクとショーは訳も分からず、一瞬、休戦した。

「ショーちゃん、ガンコってどういう意味？」パパが尋ねると、

照れくさそうに「だって、タクがガンコなんだもん！」と返って来た。


．．．この口癖、犯人はあの人です。