多機能トイレ

我が家のトイレは洋式である。保育園も様式である。そして大抵、何処のお宅も様式である。
ただお出掛けしたりすると、公園などの公共施設、動植物園など、和式のトイレも少なくない。
オシッコのときはいいのだが、ウンコのときは、こちらを使わざるを得ない。

しかし、子どもたちは使いこなせないようで、「ウンコ！」と言ってトイレに駆け込み、個室の扉を開けた途端、「やっぱ、出ない！！」ということがしばしばある。

ママに言わせれば、ズボンを脱いだ状態でまたげないからだそうなのだが、「パパが抱っこしてあげようか？」と言っても「出ない！」と応える。便を我慢するのも身体に悪いので、何とか促すのだが和式だと絶対にしないのである。これはこれで、後日、何とか改善するとして、そんなときにあると助かるのが多機能トイレ。

動物園に行った時、男女の個室は和式だったので隣の多機能トイレを使用した。

ショー　「どうして、このトイレはこんなに広いのかなぁ？」

「ベビーカーや車椅子の人が使いやすいようにだよ！」と説明したが、ショーにはイメージ出来なかったようで、納得していないようだった。
ちなみに彼は（パパが言うのも何だが）頭の回転が早く、およそ自分で回答を考えて納得することが多い。

「動物園はいっぱい人が来るから、いっぱい人が入れるようにだよ、きっと。」

こんなときパパは否定をせずに「そうなのかなぁ！きっと、そうだね！」と応える。
肯定するとショーの想像（妄想？）はどんどん膨らんで行くからである。

ショーは座ったまま少し考えて続ける。

「でも、他の人がいっぱい入って来たらウンコ出来ないよねぇ！」

「そうだねぇ！ちょっと恥ずかしいからね。」

また、しばらく考えて笑いながら言った。

「みんな待ってるとき、きっと臭いよね！！」

「うん、パパも今、臭いけどね。」

ショーがその日、収穫したのは“多機能トイレが広いのは、大人数の人が一度に入れるように”という結論だった。