言っちゃいけない

子どもたちに話したことが、若干、違うニュアンスで伝わってしまうことがある。

お散歩コースには何件か犬を飼っているお宅がある。
我がブログにもよく登場する“ゴン”は、いたって穏やかな性格をしていて、おそらく噛みつかれる心配は無い。もちろん絶対と過信している訳ではないので、大人も傍にいるようにしている。
最初は怖がっていた子どもたちも、今やお友達。近づいて行って平気で“よしよし”と身体を触ったりしている。

ただ、だんだん調子に乗ってきて、しつこく触ったり押したりすることがある。それでも高齢のゴンは怒ることなく、さりげなく犬小屋に逃げて行ってくれるので、割と安心して見ていられる。

しかし、近づくと吠えたり、追い回したりする犬もいない訳ではない。
ママとしては、危険を事前に回避させるため、「あの犬は噛むから近付いちゃ駄目だよ！」と子どもたちに念を押した。あるお散歩の日、向こうからその犬のお散歩に出くわした。

「ゼェゼェ」言いながら近づいてくる犬を、子どもたちはママの陰に隠れてやり過ごそうとした。
綱を持っているおばちゃんは、「紐に繋がれているから大丈夫だよ！」と必要以上に怯える子どもたちに優しく声をかけてくれた。もしかすると自分の飼い犬が怖がられるのも、あまり良い気分では無いのかもしれない。

ママの後ろから覗き込んでいたショーが叫んだ。

「ママぁ、あの犬、噛むんだよね！？」

えっ！？大人たちの時が止まる。ママ「大丈夫だよ！」と装うが、ママから言われたことを確かに覚えているショーは更に繰り返す。

「ママ、噛むって言ったじゃん！！」

苦笑いするママの横を、距離を保ちながら犬とおばさんは通り過ぎていくのだったΣ(￣ロ￣lll)

パパは気付かぬフリして、少し離れたところでママたちに背を向け、富士山をレンズに収めるのだった。